2017年07月12日

終助詞「ぞ」のメタ的用法

考察するゾ〜

I.終助詞を考える

・終助詞とは、「けものなんだ」「たべない」の「ね」とか「よ」みたいに、文末について文の雰囲気をうまくアレするやつのこと。

・話し言葉っぽくて、文法の研究はちょっと遅れめみたい。理由は、話し言葉より書き言葉を研究したほうがいいと思っている人が多かったことと、書き言葉なら見ればわかるけど話し言葉は捕まえるのが大変だからってのとがある。どうして終助詞が書き言葉であんまり使われないのかというと、変化しやすい話し言葉で最近できたばっかりだからなのかもしれないし、実は昔からあったけど書き言葉では場の雰囲気みたいなの気にする必要がないから使わないってだけなのかもしれないね。

・そういうわけで、中学校とかの国語でやった「国語文法」では、あまり詳しく説明されなかったと思う。

・それでも、全然研究されていないわけではないよ。とくに「よ」「ね」はよく使うから、外人さんが日本語勉強するときとかにも「どうやったらうまく使いこなせるか」ってのが問題になるでしょ。逆に「よ」とか「ね」を無駄にいっぱい使うと外人さんっぽい日本語になるよ!「わたしガイコクジンね。」

・「よ」「ね」に文法なんて無くて、みんな自由に使っているぞ!と思うかもしれない。でも、そんなことないのよ。文法の授業でやらなかっただけで、こういうのはみんな文法に支配されている。例えば、「よ」「ね」とかをこんな風に使うと、変でしょ?
「初めまして。私は山田だ。」
「うまく行く!大丈夫だ」(「大丈夫」「大丈夫だ」ならOK)
「早く来い」(「来い」ならOK)
「きいたねよ」(「きいたよね」ならOK)

・方言によっても人によっても使い方が違ったりするから、研究しにくいところもあるみたい。でも、話し相手との関係とか自分の態度を表すのに大切な要素だから、調べておいたほうがいいはず。

II.終助詞「ぞ」

・終助詞「ぞ」は、なんとなく男っぽい感じがある。
「オラわくわくしてくっ!」
「失礼するゾ〜
「ガルパンはいい
「のび太のくせに生意気だ

・「ぞ」は「ぜ」に似ている。「ぞよ」「ぞい」が「ぜ」になった??

・終助詞「ぞ」は、終止形の後ろにつく。
「食べる
「熱い
「変だ
「これだ
「食べない
✕「食べろぞ」 「食べろよ」ならOK
✕「熱くぞ」 「熱くてね」とかならOK
✕「変なぞ」 「変なの」とかならOK
✕「これぞ」 方言によってはOK
 「日本の夜明けぜよ」みたいなの (ぜよ=ぞ?)
・・推量「だろう」にはつかない
✕「晴れるだろうぞ」  「晴れるだろうぜ」ならOK 
・・疑問「か?」にはつかない
✕「晴れるのかぞ?」  「晴れるのかね」「晴れるのかよ」ならOK
・・誘い掛け「よう」にもつかない
✕「食べようぞ」  「食べようぜ」はOK

・終助詞「ぞ」は、たぶん古典の係助詞「ぞ」と同じもの。
「山里は冬寂しさまさりける」

・終助詞「ぞ」の意味について調べた研究もある。
日本語の終助詞の意味論 : 「ぞ」「ぜ」を中心として
・・「ぞ」「ぜ」「よ」は、意味を強めたいときに使う。
・・「よ」は話し相手がいないと使いにくいが、「ぞ」「ぜ」は独り言でも使える。
・・「ぞ」は、知っていることを知っていると確認する/させる
・・「ぜ」は、知っていることを知っていると意識する/させる
・・確認したり意識したりするのは、話し手でも聞き手でもいい。
(すっごい恣意で勝手にまとめたので詳細は原文を見てね)

・終助詞「ぞ」は…
・・断定を強める意味がある。「そうだ!」と言い切る感じがある。だから「だろう」とか「か?」につかない。
・・命令や誘い掛けに付けられない(✕「食べろぞ」「食べようぞ」)のは、まだ実行してなくて実行するかどうかもわからないことだから。
・・これに対して、「食べるぞ」というと「食べる」のは絶対、前提であると確信している、確実に起こる事態だと認識している、信じている

III.本題「終助詞『ぞ』のメタ的用法」

・メタ的用法/メタ言語とは?
・・クイズ
  「『流れる』は動詞なので、(そのままでは)文の主語にならない」〇か✕か
・・例「食べられる箸」
芋の組織かなんか使って作られた、食べられる食器。捨てずに食べてしまえばいいのでエコロジー。さて、この食べられる箸や皿を使ってご飯を食べるとして、ご飯と一緒に箸も食べてしまったら、ご飯がどんどん食べにくくなっちゃいますね。たぶん、普通なら食べられる箸を使っていてもご飯はご飯だけで食べるんじゃないでしょうか。食べられる箸は、食べられると分かっていても最後まで食べないはずです。ご飯も食器も同じ食べるものなのに、そしてご飯も食器も同じ食事の場に登場するのに、一緒に食べることはしません。どんなに食べられるとしても、ご飯と食器は区別しなければならないのです。
・・で、メタ言語とは
言語の研究をするなら、言語のことを調べて、考えて、論文に書いて他の人に説明します。論文とか学会発表とかで説明するときには、やっぱり何か言葉を使うはずです。ここで注意しなければならないのは、研究対象にした「言語」と、論文とか学会発表で説明するときに使う「言語」は区別しなきゃならないということ。研究対象にするのは、日常生活で使う普通の言語。それに対して言語を説明するための言語は、日常生活をちょっと上から目線で見降ろしたような特別な言語。この特別な言語を「メタ言語」と呼びます。同じ言語なんだけど、普通の言語と一緒にしちゃうとなんだかどっちがどっちだかわかんなくなって困るので、気を付けましょう。
・・クイズの答え
「『流れる』は動詞なので、(そのままでは)文の主語にならない」は、素直に考えれば〇です。合ってます。「水は流れる」みたいに名詞は主語になりますが、「?流れるは水だ」「流れるは激しい」みたいに動詞は(そのままの形では)主語になりませんね。(「流れるのは水だ」「流れは激しい」みたいに形を変えて名詞にすれば主語になります)
でも、「『流れる』は動詞だ」という文を見てください。「流れる」が主語になっていませんか?そもそも「『流れる』は動詞なので、(そのままでは)文の主語にならない」という問題文の主語が「流れる」になっています。主語になっているのです。…と考えると答えは✕でしょうか。
ここで注意が必要です。普通の、日常生活における言語では、「流れる」は動詞だから主語にならないはず。でも問題文の中の「流れる」は、「『流れる』(などのような動詞語)」ということで、語を説明するための語、メタ言語なのです。メタ言語になってしまっているので、日常生活で使う「流れる」とは区別して考えたほうがよいのです。

・終助詞「ぞ」のメタ的用法
・・メタ言語は文法説明に使う言語、というと小難しい専門用語、学術用語が思い浮かぶかもしれませんね。上の例の「流れる」みたいに、普通の語でもメタ言語として使うことはできます。
・・終助詞はメタ言語としてはあんまり使われないような感じもします。でも、「ぞ」はよく使われるような気がする、というのがこのブログで述べたいことです。ここまで前置きが長すぎィ!!
・・「意志性」や「確信」を表す言語形式が登場した時に、それを説明しようとすると、「ぞ」が多用されませんか?
・・例1
問「英語のwillとwouldの違いはなんですか」
答「wouldは仮定法で柔らかく婉曲に表現できるのに対し、willは強い意志や確信が含まれます。wouldなら「するでしょう」という感じなのに対して、willなら「する」という気持ちが強まります」
・・例2
問「この文脈の『死ぬべし』って『死ね』って意味ですか」
答「ここでは主語の強い意志を表しているので『死ぬぞ』って意味です」
・・例3
問「『意思』と『意志』はどう使い分けるんですか」
答「おもう方の意思は、考え方とか気持ちのことで、こころざしの方の意志は『するぞ』っていう感じです」

※そんな用例を探してみよう収集しようと思ったのに、全然見つけられませんでした。上の例は、そんな風に使われそう、聞いたことあるような感じがする、という作例です。実例や反例があれば教えてください。例文の内容そのものも、保障できません。

名大会話コーパス
・・data026「しゃべる方はあらかじめ、今日はこうやって言うっていうふうに、何か(構えて)持ってって言うじゃん。」
・・data052「1人で、なんか、す、相撲とってるっていう感じが(うん)すごーくする。」
・「っていう感じ」のような用法が多い感じがする?この例はいずれも言語の説明っていうか様態や態度の説明である。後に「って」が多くても引用/直接話法ならば普通のことである。「よ」+「って」と較べて相対的に多いとか、そういうことは言えない。

※これと関連するかどうかわからんが、最近の流行り言葉?あるいはセミナー講師の常套句?「…だよ〜って人」みたいに、連体修飾を「よ〜って」(終助詞「よ」を伸ばすとこもポイント)って形式が耳に付く気がする(例:「今日この話聞くの初めてだよ〜って人いらっしゃいますか)。終助詞そのものには口調を和らげるような効果もあるだろうが...

・結局、「終助詞『ぞ』のメタ的用法」が実在するかどうかは例示できなかった。でも、ある感じがする。誰か例を見つけてくれまいか。また、反論としてはこれが他の終助詞にも可能で実例があるというのを言ってくれると助かる。
posted by 2Shekh at 13:41| Comment(0) | 有言の華 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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